園内を見学された方から、「ここは危なくないですか?」というご質問をいただくことがあります。園庭の高いステージ、室内の細い通路、目の届きにくいスペース。心配になるのは当然だと思います。
ただ、これらは偶然そうなっているのではなく、ひとつひとつに意図があります。
今回は、園が「安全」をどう考えているのか、そして個々の場所にどんなねらいがあるのかを、正直にお伝えしたいと思います。
本当の安全を考えていかないと、子どもから様々なことをどんどん奪ってしまいます。
国が定める保育園の指針には「環境を通した保育」がうたわれています。子どもが自分で考え、判断して環境にかかわるということです。
『安全』には絶対がないため、保障はできません。
大人がイメージする『安全』の中では子どもは育たない。
ではどうするのか。
園では次の4つを軸に考えています。
・子どもの危険察知能力を高める
・子どもの環境との対話を邪魔しない(子どもにあそび方を教えすぎない)
・個々の子どもの成長を把握する
・大人が安心できる環境にする
ここからは、具体的な場所ごとにご説明します。
子どもは狭いスペースや囲われている場所が大好きです。その中では、子どもたちが集中してあそび込めるように、おもちゃを設定しています。周囲を気にせず、やりたいことができることをねらっています。
やりたいことがあり、あそび込めると、子ども同士のトラブルは減っていきます。実際に、トラブルは死角よりも目の前で起きることが多いです。
また、スペースの広さや狭さは、そこで展開されるあそびが個人か、少人数か、5~6人のグループなのかによって、設定を変えています。
とはいえ、目の行き届かないところもあるので、職員の配置を工夫しています。現在3歳~5歳には7人の職員がいます。それぞれ自分の担当や役割があり、全体把握、各クラス担当(室内・園庭)、フリーがあって、流動的に動いています。
個々の子どもの成長を把握し、トラブルになりやすい状況になりそうな時は、そばにいるようにしたり、声をかけたりするように心がけています。職員のミーティングを毎日行い、情報の共有を図っています。
目下の課題は、あそびの充実と、個々の成長を見極めるところです。全力で取り組みます。
人間が育っていくときに、アンバランスな場所では、頭を使いながら体を動かすことが本能的にあります。例えば、山道などの凸凹している道では、注意して歩くので転びにくいということがあると思います。
室内のパーテーションには、『仕切り』としての役割と『障害物』としての役割があります。注意して過ごすために、あえて置いていることもあります。通路が細いのも、その理由の一つです。
子どもは基本的に、走っているか、止まっているかです。
室内にいるだけで注意しながら生活しているので、それが危険察知能力を高めることにつながっています。
『子どもは自分の力以上のことはやらない』という考え方が1つあります。
ステージなど高さのあるものは簡単には行けず、登るために身体能力を必要とします。何度も何度もチャレンジしながら、頭と体をつかう中で、自分の心と体と向き合います。
そして『やめること』も学びます。無理をせず、自分を危険から守ることです。
園庭には段階的にチャレンジの要素があるステージがあり、子どもたちは自ら目標をたてて取り組みます。登ることができるようになってくると、体の使い方だけではなく、心の成長、そして危険を察知し回避しようとする力も育ちます。
この様子を見守る私たちは、なるべく声をかけません。応援もしません。
それは、集中している子どもの邪魔になるからです。そして応援は、子どもの持っている以上の力を無理に引き出してしまい、落下や降りられなくなるといったリスクがあるからです。
なお、心と体の成長がアンバランスな子が登れた時は、そばにいて見守るようにしています。
園庭のステージに挑戦する子ども
最後に、ケガについての園の姿勢をお伝えします。
・子どものチャレンジを残しながら、重大な事故を防ぐために、点検や環境の見直しを日々行っています。
・職員のスキルアップのため、外部講師を招いて園内研修を行い、専門家からのアドバイスをもとに環境を作っていきます。
・ワークショップなどで保護者の皆さんと一緒に作ったり、より理解してもらえるように情報発信をしたりしていきます。
「危ないからやらせない」ではなく、「自分でやるかやらないかを判断できるようになってもらう」。そのための環境づくりを、これからも進めていきます。
気になることがありましたら、いつでもお声がけください。
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