水元保育園の保育方法を一言で表すと「見守る保育」になります。
ただ、この「見守る」という言葉、少しやっかいなところがあります。単に見ているだけ、放っておくだけ、というイメージを持たれやすい言葉だからです。
今回は、園が「見守る保育」という言葉をどういう意味で使っているのか、そしてその中身である異年齢児保育や子ども主体の保育について、あらためてお伝えしたいと思います。
はじめに、園が掲げている方針と目標をあらためて記載します。
【保育方針】「子どもの主体性を育てる保育」
①子どもの主体的な活動として、生活を保障する保育
②子どもの自発的な活動としての遊びを保障する保育
③一人ひとりの個性を大切にする保育
④対話を大切にした保育
【保育目標(目指す子ども像)】
①自己肯定感が育まれた子ども(自分も周囲の人々も大切にできる子ども)
②自分で考え、行動する力を持つ子ども(主体的に行動する子ども)
③やりたいことを見つけてとことん取り組む子ども(集中力がある子ども)
なお、この「主体性」という言葉が大切になってきている背景には、国が定める「保育所保育指針」があります。保育所保育指針とは、厚生労働省より保育所における保育の内容について定められたものを指します。保育園では、この指針の内容を実現できるように、子どもの成長を見守っています。
子どもたちの発達には個人差があるので、全ての子どもに同じことをすることが平等ではありません。それぞれの子どもの発達段階を捉えて、時には見守り、援助が必要であればしっかり向き合っていくことが非常に大切です。
ただし冒頭でも触れたとおり、「見守る」という言葉は単に見ているという意味合いが強く、放任的なイメージを抱いてしまいがちです。
そこで園では、「見守る」という言葉をこのように定義し直しています。
見る = 子ども一人ひとりを理解する
守る = 適切な援助をする
見ているだけの保育でも、やってあげる保育でもなく、子どもをきちんと理解し、子どもの意欲を引き出し、それを保障するための保育。それが園の考える「見守る保育」です。
そして、この見守る保育を具体的な形にしたものが、次の4つです。
①日常的な異年齢児保育
②子ども主体の保育(大人の都合を押しつけない)
③ねらいに応じた選択性の保育
(子どもの発達を踏まえた適切なねらいのもと、子どもが選択できる環境を整える)
④かかわりを大切にした保育
(子どもの気持ちに寄り添い適切な言葉掛けをする、生活・遊びの中で子ども同士の関わりを見守る)
ここからは、このうち①と②について詳しくお伝えしていきます。
子どもは時間的経過の中で発達していきます。例えば、おすわりができる→はいはいする→つかまり立ち→伝い歩き→一人歩き……といった具合です。
ところが、発達は時間の経過だけではなく、様々な要因が働いています。特に3歳児以上の子どもにおいては、時間の経過(年齢的な要因)よりも、環境の影響、経験からの影響、時代的な要因などが大きく作用するとも考えられます。
つまり3歳児以上の子どもに対しては、「〇歳にもなって……!」という見方よりも、「その子がどうであるか?」を認めていくことが重要です。
子どもの権利を保障するためにも、年齢ごとに区切るのではなく、大きく幅を持って子どもたちの発達を見守るゆとりが大事だと考えています。
保育園では「生活」が基本です。生活していく中でそのシーンが現れて、必要になった時に興味を持って学び、身につけていくことが大切です。
生活についての学びは、椅子に座って一斉に学習するものではありませんし、年齢で分けるには無理があります。特に3歳児以上になると、発達の度合いは年齢よりも個人差のほうが大きくなります。
そこで、異年齢児保育の出番です。
例えば、3人の保育者が3歳児以上の子どもたちを、年齢別ではなく発達・個人差で見てみるとしましょう。自由遊びの時間、いくつかのコーナーを用意して、子どもたちはそれぞれ好きなコーナーで納得いくまで集中して遊びます。この時、年齢別ではなく3歳児以上の集団にすることで、職員は3倍以上のコーナーを見守ることができます。他にも、着替え、給食、午睡などが複数重なるような場面にも応用が利きます。
また、同年齢の子の中だと、できない子・遅い子ははみ出がちですが、3年の幅の中では差異が目立たず、劣等感を感じないで済むという面もあります。
過去には年齢による習熟度と思い込んできたものを「個人差」として捉える。そうすることで、その子に合ったことを、その子に合った援助方法でやることになり、自発性・集中力も身につき、個性が伸ばせるのです。
少子化の現在、家庭でも保育の現場でも、子ども一人ひとりに目が届き、手をかけられるようになってきています。
一見良いことのように思えますが、やってあげる保育・教える保育が行き届くので、子どもの主体性や意欲が育ちにくくなっている面があるのです。
自分でやってみたいと思う前にやってもらっていると、自らやってみようという意欲がなくなってきます。言われた通りのことをやることが多くなり、ひいては「やりたくない気持ち」だけが生まれることに。
すると「言われなくなったらやらない」「言われるまではやらない」ということになっていってしまいます。これでは子どもの主体性や意欲は育まれていきません。
だからこそ園では、大人の都合を押しつけない、子ども主体の保育を大切にしています。
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